マンチェスター・シティ（マンＣ）は、ミランのカカ獲得のため、史上最高額の移籍資金をつぎ込む見込みだ。マンＣは、すでにミランに対して１億ユーロ（約１２０億円）の移籍金をオファーしているが、その後、この金額を１億１５００万ユーロ（約１３８億円）まで引き上げた。破格のオファーを受けたミランは、交渉を受け入れざるを得なくなった。これによってマンＣは、ミランからカカとの自由交渉権を得た。

　アブダビ・ユナイテッド・グループをオーナーに持つマンＣは、カカ獲得にあたり、ミランへの移籍金に加え、選手本人と契約のための仲介手数料などの費用として、合計２億２５００万ユーロ（約２７０億円）にものぼる巨額な資金を投じる用意があるようだ。

　イタリアとイングランドのメディアは現在、この話題で持ちきりとなっている。イタリアの『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙は、カカの個人アドバイザーを務めるディオゴ・コスチョ氏が、「ミランはこのオファーを評価している」と発言したことを報じている。

　今のところ、イタリア国内でのミランサポーターの反応は大きく２つに分かれている。ひとつは、「カカのような象徴的な選手を売るべきではない」との考えだ。今週木曜日には約２００人のファンがミランの本部前に集結し、同選手を売却することへの反対を訴えた。だがその一方で、「ミランはこのような“おいしい”オファーを逃すべきではなく、カカの移籍を受けるべきだ」との声があるのも事実だ。ミランは１７日、サン・シーロでフィオレンティーナと対戦するが、この試合に出場するカカへのサポーターの反応が、本人の決断を左右する要因になるかもしれない。

　一方、イングランドの『ザ・タイムズ』紙デジタル版は、「サッカー界に衝撃を与えた３日間」とのタイトルで、この天文学的な金額のオファーをめぐり、両クラブが７２時間にわたって繰り広げた交渉の経緯を分析している。同紙は、経済危機の打撃を受けているミランがこのオファーを断るのは難しいと見ており、「カカを売ってもなおメリットが残るとの判断から、ミランはマンＣへの移籍を許可することを決断した」と伝えている。

　しかし、このマンＣのオファーに眉をひそめるものもいる。アーセナルのアーセン・ベンゲル監督だ。同監督は先日、「マンＣは現実の世界とかけ離れている。ほとんどのクラブにとって、ひとりの選手に対し、このような金額のオファーをすることなどあり得ない」と、マンＣの札束攻勢に警鐘を鳴らしている。

　アラブ首長国連邦の投資ファンドがクラブのオーナーになって以来、マンＣの目標は、世界のビッグクラブの仲間入りをすることになった。ここ数カ月、同クラブのターゲットには、フェルナンド・トーレス、ダビド・ビジャ、クリスティアーノ・ロナウドをはじめとして、何人もの大物選手の名前が挙がっていた。昨年の夏には、大金にものを言わせ、レアル・マドリーからロビーニョの獲得に成功している。そして、今度はカカに狙いを定めた。サッカー史上最高額の移籍が実現するかどうかは、もはやカカ次第となっている。

ミランFWパト「自分がカカだったらミランに残る」（好孩子ＰＡＴＯ說～）

1月17日15時18分配信 ISM

マンチェスターＣ（イングランド）から高額なオファーが提示されているミラン（イタリア）のブラジル代表MFカカに対し、チームメイトのFWアレシャンドレ・パトが残留を望むコメントを発した。ロイター通信が報じている。 　パトは伊『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙に対して、「もし僕がカカだったら、何も迷うことなんてない」とコメント。ブラジル代表でもチームメイトのパトは「僕だったらミランに残るね。ここは彼にとって故郷とも言える場所だ」と、自分だったら移籍はしないと語った。 　なお、ミランは現地時間17日に開催予定のセリエＡ第19節でホームにフィオレンティーナを迎えるが、渦中のカカは通常通り試合に向けた練習に臨んだという。